2017年08月15日
本作の抽象性をより強調する効果を発揮している
視力が低下する以前に描かれた同画題の作品『睡蓮の池、バラ色の調和(太鼓橋)』と比較してみると、もはや太鼓橋としての形を僅かに感じられるほど形象は抽象化され、あたかもこの風景を夢裡で見ているような非現実感が漂っている。また画面下部では池の水面に反射する木々や浮かぶ水草(睡蓮)の形状を不鮮明ながら感じることができるが、遠景のモネの庭の木々はもはや形すら失われ、色彩の洪水と化している。
日本風太鼓橋など緑色が主体として画面の色彩が構成されている本作ではあるが、それ以外にも緑色と隣り合い、視覚上で渾然一体となる赤色や桃色、黄緑色、黄色、青色など多様な色彩が用いられており、
本作の抽象性をより強調する効果を発揮している。
Posted by nori at 12:32│Comments(0)